BLUE DROP

BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス)

BLUE DROP―吉富昭仁作品集 (電撃コミックス)

吉富さんらしい作品だなぁ、というのが第一印象。
この方の世界観は、見た目で大雑把に言ってしまえばファンタジーなんですけど、設定を読むとSFぽくて、
けれどそこまでガチガチにその言葉の枠に縛られない自由さがあります。
正直に言うならば私はこの方の作品は初期の頃のもの(ローンナイトの辺りですね)が一番好みだったんですが、
独自の世界観を保ちつつよりコアな方向へ向かっているので好きな方には相当好きになれる作品じゃなかろうか。
文面をさらっと読んだ通りに流せる人はともかく、少しでも引っかかりに考え込んでしまう人なら、
この作品は余りストレートな作りにはなっていないので行きつ戻りつしたりしながら読む事になるかも。
昔より取っ掛かりにくく、けれど好きな人にはたまらない世界を築き上げています。
あと、特筆したいのはこの人の描く女の子の体の線の柔らかさ!
これは本当に凄い!!
肉感的まで行くと桂正和さんとかなんですが、この方の場合、線全部がいかにも女の子の雰囲気を醸し出してるんですよ。
決してむっちり型の身体を描いてる訳じゃない、変な胸の誇張もなく、特にトーンで立体感を出してる訳でもない。
でも描かれる曲線一つ一つがとても柔らかく、温かみのある線で、それで象られた女の子達は凄く魅力的なんですよ。
素足なんかはまさに絶品。
どちらかというと、絵が達者な、という部類の作家さんではないのですが、どこか朴訥さを感じさせる描線にはとても特徴があります。
最近の作品余り読んでいないから、また機会があったら目を通したいです。