フラワー・オブ・ライフ(4)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

本当にすごい衝撃作だったなぁ、と思う。
真島を単なるネタキャラだと捉えていた自分が恥ずかしくなりますね。
オタクを愛してるオタクの、オタクに対する痛烈な批判を見た気が(笑)
真島が、カッターを出した後の、春太郎とのやりとりは、自分自身何故かじくじくと胸を刺されている思いでした。
真島に対する批判は、私に対する批判にもなりうるからだろうな、多分。
真島って、妙にオタクに持ち上げられるキャラだと思うんですよね。
や、有る意味羨ましいじゃないですか、あそこまで我が道を行けると。
でも、事実彼の生き方が好ましいものかと言えば、多分、そうではないですよね。
真島の生き方は、そうなれたら『気楽』であるが故に惹かれるものがあるけれど、実際そうなってしまったら他者の目を一切気にしない傍若無人な振舞がデフォルトになって、他者からは疎まれるものでしょう。
他者に迷惑を掛けて本当に一切気にならない人ならそれも良いだろうけれど、真島を羨んでしまっている時点でその人にそういう生き方考え方は出来ないんだろうな。
で、彼の生き方を強いと見るか、横着と見るかは感じる人次第なんですけど、でも彼の生き方を賞賛するのはどうなんよ、ってのはよしながさんの中にはあったんではないかと。
いや、実際色々な所で真島『様』的感想良く見るんですよ。
ネタキャラとしてでも、マジにでも崇め奉りたくなる要素があるのは、自分にも凄く良く分かります。
というか私も「真島様」呼ばわりしてた一人です(笑)
でも、あの生き方を羨ましいとか、尊敬とかしちゃうのは一種自分の社会性を放棄したいと言ってるようなもの。
匙加減見つつ、ああいう我が道を行く部分も獲得したいってのが大半の本音でしょうけれど、多分、他者に触れる社会に居る限りは、『それに惹かれる』自分で居る事の方が大事なんでしょうね。
臆病でも気ぃ使いでも優しさでも、動機付けはどうでもよくて。
我が道を行くっていうと綺麗過ぎか、身勝手なんですね。社会の歯車であろうとしない。
組み込まれてると考えたら癪かも知れないけれど、自分が動かしてると感じたら他者との関わりも面白く感じられてくるもんで。
排他的なオタクよりはきっと友好的なオタクの方が面白いよ、と。
よしながさんにそういう思いが少なからずあったんじゃないかなと感じました。
結局他者と関わり始めた途端、真島は貧乏くじを引いた訳ですが、あれはいわゆるツケの様なものだと思います。
春太郎との一件がリセットになってくれればいい。
回復までいかなかったけれど、それに向かう兆しみたいなものはなんとなく感じ取れた気がします。
最後のページの彼は、そこに向かい一人で道を模索しているのだ、という風に捉えたいです。
さてさて、もう一つの衝撃はやはり春太郎の件ですね。
まさか最後にこんなどんでん返しが来るとはね。もう脱帽。
フラワー・オブ・ライフというタイトルの意味がここに来てバラされて、しかも明暗どちらも同時に考えさせるタイトルだと分かって「なんだ、この漫画は!?」って。
この作品はここに来て一気に高みに登りましたね。
正直、「ベスト・オブ・よしなが」(笑)は『大奥』だと思っていたけれど、こんなオチを持ってこられては甲乙付け難い。
甲乙つける必要もないのか、違うジャンルで見て最高!!と絶賛したい。
この方の人間の見方は鋭くて冷たくて、でも同時に温かくて愛があるんですよね。
どうやったらこんな視点に立てるのか、ただただ感服。
本当に良い作品を読ませて頂きました。