ブレイブ・ストーリー

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (中) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

一冊一冊感想書く程にはハマれなかったのでまとめて。
(ネタバレ考慮してません。
 映画小説どちらも未見でこの先いずれかを見る予定のある人は避けた方が良いかと思います)


まあまあ面白いと思います。
既存のファンタジーものを凌駕するようなものではないけど、話は分かりやすくて良いです。
オチも安易なもの、というか決して御都合主義にはならなかったし。
泣きどころもあるし、途中で謎とヒントをちゃんと落としているし、
キャラクター達の描写も丁寧。そういった部分には好感が持てます。
ただ、内容に見合ったボリュームか、これ?という疑問が。
今回三冊分冊で読んだからともかく、多分スニーカーの方だと1巻は1章の終わりまで?ですよね?
だとしたら1巻で投げ出す人が多いんじゃないかなと思います。
全体的にやや世界の描写が細かすぎるきらいがあるのですが、それ以上に1章は話が冗長に過ぎる。
確かにワタルの幸せな時間を丁寧に描いてこそ、
そこから先の運命の過酷さが引き立つのかも知れませんけど、
だからといって旅立ちまでにあんなページ数費やす必要はなかったと思います。
むしろ序章としてさらっと書くだけで良かったような気がします。
何故かと言うと反面幻界でのエピソードが補完しきれてない感じがあるからです。
というのもワタルがいかにもな子供らしさでどんどん旅を先に進めていってるからなのですが、
例えばリリスの件とか何も解決してないような気がするんですよね。
あれだけ人種差別を色濃く描いてたもんだから、ワタル自身でなんらかの解決を試みると思ったんです。
でも終わってみたら頭潰しただけであとはハイランダーに丸投げ。
まぁ確かにそれでも解決しますわな。
あれがワタルの作り上げた幻界だってんなら彼の心のもちようで変化するわけだから、
あえて突っ込んでって解決する必要もないですよ、願いを叶えれば終わりなんですから。
しかしそれならそこらももっとあっさりの描写でも良かったし、
彼等の態度に怒り心頭だったワタルの描写なんてもっと少なくてもいいじゃないかと。
残ったものがえらく説教くさく思えて、他の所でもそういう風に感じる部分はあったんですが、
問題提起だけで終わっちゃうことが多く、結局それがいいたいだけ?みたいな印象を持ってしまいました。
カッツやミツルの死の描写には確かに泣かされましたが、
これはキャラクター描写が丁寧だったが故でしょう。
キャラクターには愛着が持てましたが、良作と呼ぶにはちょっと届かない気がします。
文庫読むにしても2巻の途中まで読むのがしんどいと言うのは致命的。
その後の描写でそれまでのしんどさを払拭出来る程の爽快感を齎された、という程でもないですし。
なんだろ、N○Kが子供向けに作った教育ゲームって言われたら納得出来る気がします。
綺麗事ばかりに終わらなかった辺りが本としての価値かなぁ。