DIVE!!

DIVE!! 上 (角川文庫)

DIVE!! 上 (角川文庫)

DIVE!! 下 (角川文庫)

DIVE!! 下 (角川文庫)

あーやっぱり好きだなぁ。この作品の爽快感は堪らない魅力です。
これ、初めて読んだ時のきっかけは「バッテリー好きなら読んでおけ」という言葉を色々な所で
見かけたからなんですが、中身読んだらこれ全然バッテリーと方向性違うじゃん!!(笑)と。
寧ろバッテリーと正反対じゃん!みたいな。
バッテリーて、兎に角読んでて苦しくなるというかしんどいですよね、感情移入すればするほど。
でもDIVE!!は読んでて兎に角楽しいんですよ。
わくわくしながら読めるんですね。
あさのさんは書評でこれをスポ根と言うのは違う、もっと得体が知れないものだ、
と言っていらっしゃるけど、確かにスポ根もので片付けてしまうには勿体無いものがあると思う。
けれどスポ根の枠に収まりきらなかったとか、他の要素も入っているが為にそう定義できないとか
思っていても、やっぱりこの作品を的確に表現するにはスポ根という言葉があってる気がする。
根っこの部分が、スポ根って感じがするんですよ。
枝がどんどん色々な方向に延びてって葉も広がったから、全体的に評価すると、
「そんなものに留まらない」となるのでしょうけど。
ただ、この物語はまず初めにやっぱり「飛び込みありき」の話なんだと思う。
マイナーで、競技人口も少なくて、水に打たれれば痛い思いもいっぱいするし、
私生活の色々なものも犠牲にしなきゃいけないしで相当しんどい思いもしているのに、
それでも飛び込んで水に包まれる、その一瞬間に全てをかける少年たちの話、
でないと多分成り立たない。
こういってしまってはなんですが、バッテリーは野球よりも先に
少年ありきの物語だと思うんですね。
だから前提条件が違うと思うんです。いやあくまでも個人的な感想なんですけど。
そんなことはおいといて。
キャラクターも魅力的ですよね。
純粋で素直、ちょっとぼんやりな、飛び込みに関してはまだまだ発展途上の知季に、
飛び込みのサラブレッド、さらに自信家で、常に有言実行を目指す努力型天才の要一と
海を相手にしてきたが故にプールでの飛び込み競技に反発する曲者の野生児・飛沫。
更には平穏だった知季・要一・飛沫の日常を引っ掻き回し、
クラブ存続に情熱を燃やす女コーチや、
ずっと同じ飛び込み仲間だった知季が突然才能を見い出された事に
嫉妬や複雑な感情を見せる友人達や、
要一と張り合って目立ちたがる妙なライバル。
果ては愛情表現が非常に下手な、選手のコーチであり、父親でもある要一の父など、
最後一斉に色々な人の心情が順に描かれるので、それまでちらほら出ていたキャラにも
愛着が湧きます。
んでこれがまたいい終わり方なんですね。
都合良すぎって言う人もいるかもだけど、私はこれで良い。これが良いです。
ここまで王道のスポ根やってるんですから最後もありがちでも王道を行っていいと思います。
だって面白いんだもの。後味が最高に良いんだもの。