犯罪交渉人峰岸英太郎(5)
- 作者: 記伊孝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/06
- メディア: コミック
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凄く面白かったですよ。
朱ちゃんと英太郎ちゃんの交渉だけで180ページ余り使ってるっていうのに、全然だれた感じないもの。
むしろ緊迫感のある、目が離せない感じでした。
確かにね、絵はクセが強いし、一回分だけ切り取ってみたら結構話理解したりするのは難しいしで、
とっつきにくい部分もあるんですよ。
でもホント1冊丸ごと読んだら面白いですから。
作品の主題が犯罪交渉人って事で、少し珍しい事も勿論だけど、
それ以上に漫画としての面白さが強い作品だと思うんです。
『言葉』が最大の力を持つお話ですから、どうしたって文字の比率は多くなるし、
画面に派手さだってあんまりない。
んでも、ここぞという時にはやっぱり派手なアクションもあるし、
それまでに緊張する間を充分に溜めてあるから、かえって引き立つんですよね。
そしてそんなアクションの時に初めて深呼吸出来るような。
緊張感を強いられる漫画ていうとなんかマイナスな響きを伴ってるかも知れませんが、
本当に息を詰めて見守ってしまいます。
先がどうなるかなんて割とどうでも良くて、読んでいるその一場面一場面が大事に思えて、
その画面だけを丁寧に読み取っていくだけで先読みの必要なんてないくらい面白いと思うんです。
この作品の一番緊迫感溢れる要素は「人質だけではなく、犯人の命をも守る」って所だと思います。
英太郎ちゃんだけの信念ではなく、警視庁の交渉人は皆それを絶対的な使命としてる、
って書かれていて、それがなんとなく嬉しかったです。
勿論警察組織そのものだって犯人を無傷で確保出来るのが良いのだろうけど、
どうしたって力技になっちゃうじゃないですか。
ジャーナリズムではないですけど、言葉の持つ力は大きいんだっていう事を見せてくれると、
本当にそれだけで爽快感を味わえますよね。
漫画的に面白いという話ではなく、人として言葉の持つ力を肯定して貰えるとなんかほっとするんです。
うん、言葉を大事にしてるから面白いと思えるのかな。
台詞回しがおざなりな漫画って、確かに余り読む気がしないものなぁ。
とにかく終わっちゃったのが惜しいです。どこかに移籍して続き描いてくれないかなぁ。
マガジンよりは、アフタとかの方が自由度高そうですけど。
まぁ講談社じゃなきゃ5巻までも出たかどうか怪しい部分ありますけどね……;
とにかく面白かったでっす!!