鋼の錬金術師(12)

やっぱ好きだなぁ、この作品。というか荒川さんが。
話はどんどんしんどい方向にいってるのに、その合間にもちゃんと笑わせてくれるし、
なんていうか、キャラクター達が本当に生きている感じがする。
特にそういう部分を感じたのがグラトニーの疑似真理の扉をくぐり閉じ込められた空間の中で、
エンヴィーとエドとリンが闘い、その中でエドが出られるかも知れない方法を思い付く所。
あそこですんなり闘いをやめたのが、ものすごくすっと入って来た、ていうか。
あの三人の闘い自体、出られないという焦りから起こったものだったんじゃないかなって、
妙に腑に落ちてしまったんですよね。
漫画版のエンヴィーってアニメと違って、エドに特別な執着がある訳じゃないじゃないですか。
だから、目的の為に『エド』の命や知識を求める事はあっても、
個人的な怒り恨みつらみで殺すっていうのはどうも想像し難いんです。
興味から殺すっていうのはあるかも知れないけど、でもそれ以前にホムンクルスの、
生命に対する倫理観の違いなんかも多分あって、彼らにとっては殺すという事は
さほど重要ではないのじゃないかと思うことがあります。
人間にしてみたら「なぜ人を殺してはならないのか」という問いに倫理観や感情、宗教観などを
封じられると答えられなくなるにも関わらず「人殺しはよくないもの」としての擦り込みが
きっちりなされています。
ですが、そういう感性を持ち合わせていないとしたら、その彼等に殺す事が駄目だと言っても、
理解出来るはずがないし、逆に嗜虐性が強ければそれこそ「何が悪い?」ってなるでしょう。
ラストが死んでグラトニーが悲しむ描写があるのですが、それは「同胞が失われたから」であって、
「生命が奪われたから」というその一点のみで悲しむ事はないような気がするのです。
グラトニーにしてみたら「ラストが死んだ→もう会えない→淋しい」みたいなもんで、
問題は「死んだ」よりも「もう会えない」なんじゃないかと。
ひとまずそれは置いておいて。
メイ・チャンはやっぱりリンと同じく玉座を狙う一人なんですね。この子も好きですよ。
いずれはリンと直接対決もあるのかな(笑)
エドとリンの嫁姑戦争は笑いました。あとばっちゃん、おいしすぎる。