兵悟のさげまん伝説



注意:タイトルの意味ですが、週刊マガジン掲載の漫画『トッキュー!!』の主人公・神林兵悟の活躍における様々なジンクスを表にして書き出してみようという試みです。
ただし、兵悟をさげまんと名付けたのは兵悟自身が他人を蹴落とそうとしていたからでは無く、作者が主人公を活躍させる為に他者を次々と犠牲にしていくスタイルで描いている為に生じていた現象をそう呼んだだけなので、別に他意はありませんし、主人公憎しで書いてる訳でもございません。


と、兵悟嫌いの私が言っても説得力ないでしょうけどね。


では三巻第20話より。
坂崎の台詞「お前みたいな奴、俺はもう面倒みきれん。トッキューに行っちまえ!!」
犠牲者:坂崎
補記:この台詞の何処が?と言われるかも知れませんがkachiraには坂崎さんの責任放棄にしか見えません。スキルはトッキューに上げてもらえっつーのはいくらなんでも無責任ではないかと。しかも兵悟は現場で何度も命令無視してる新米潜水士ですし。
兵悟をトッキュ−に行かせる足掛かりに周囲の協力を得る形で坂崎の株下落。


四巻第27話。
坂崎の台詞「西海橋の事故で真田隊長の命を救ったのは…」
犠牲者:真田
補記:確かに真田の命を救ったのは兵悟。しかしその前に兵悟自身が要救助者となって真田に救われている事実は割と置き去り。この台詞だけ聞いたらまさに新人に助けられた神兵の図。この後何度も引き摺る。多分これを兵悟の『伝説』の序幕にしたいんだろうなという作者の意図見え見えの兵悟持ち上げ策。真田は当て馬?


四巻第31話。
真田の台詞「事故に疑問を持ちながら要救助者がいる事に気がつかなかった」
犠牲者:真田
補記:えっ!?トッキュ−の隊長ってこんなに無能で良いの!?みたいな(酷)ちなみに本誌の台詞はもっと酷かったのですが(要するに単行本化の際にあまりの酷さに直されたらしい)新造船の事故に疑問を持ったなら、競技なんて見てなくても数を偽ったりの不正なんてしないだろうし周りもさせないだろうし、真田自身は船の中をもうちょっとちゃんと見るべきだと思うんですよね。『船内の安全は確保されてる』って確認してるように見えないんですよ。乗組員の言葉を鵜呑みにしてるだけでしょう。何故浸水したのかの原因調査もせずに競技会とは……。別に要救助者の事がなくても普通に調べるべきじゃね?
素人のkachiraですらそう思うのだから、ちょっと彼等はプロフェッショナルには見えません。プロだからこその見落しだとか言うんだったら、kachiraは海上保安庁自体信用出来ません(笑)


五巻第37話。
真田の台詞「自力で奇跡を起こし、結果として少女を救ったんだ」
犠牲者:真田
補記:まぁこれは一概に兵悟から被った害とは言えにくいかも知れませんが。奇跡って言葉を安易に使わないで欲しい。特に、奇跡頼みなんて許されない現場に身を置く人達には使って欲しくない。物凄い細かいツッコミ入れると海上保安官であり潜水士である兵悟には、自分の体力の限界(48時間)も、大体捜索隊の規模がどれくらいの時間で縮小されるかもある程度想像は出来るはず。なら命を掛けてでも自分の居場所を知らせなければいけないタイムリミットもそれなりに予想できた訳で、あとは真っ昼間に付けたって煙なんてろくに見えない事も想像に難くないし、火の起こし方なんて小学生にだって思い付く。見つけてもらえるよう狼煙を上げたのが奇跡なのではなくて狼煙を見つけて貰えたのが奇跡なのだと思います。兵悟が上手くやったのは火を太陽が沈む前に起こし、真っ暗闇で煙が見えないという事態を防いだタイミングの良さと、エリコちゃんをちゃんと守った事。
割と良い話だったのに、この一言で大分株が下がりました。作者の意図する兵悟持ち上げよう計画は尽く見え見えなのが痛々しい。


第45話。
ぴよこ隊の指揮を任された星野がパニック。救助用人形は壊れ、あわや真田も……という事態に。兵悟が指揮を執った事により、なんとか無事訓練終了。
犠牲者:星野
補記:星野はトッキュ−の厳しさと兵悟のカリスマ性を高める為のエピソードの最大の被害者だと思ってます(個人的に)。先日も言いましたが、何も指揮自体を兵悟に移さずとも『兵悟に一言二言声を掛けさせる事によって星野が冷静さを取り戻し、訓練は成功する』とかでも良かった気がするんですよね。まぁ、トッキュ−の厳しさをアピールするにはここで星野を落としておく必要性があったので、それを狙ったのならば確かに効果的ですが。
良い人で成績が優秀なだけではトッキューに入れないよっつぅ良い見本にもなった訳ですが、ここで兵悟を持ち上げてるのがあざといです。
むしろ兵悟を持ち上げるだけにするか、トッキュ−の厳しさを教えるだけにするかどちらかに絞ればここまで星野のヘタレ加減は増長されずに済んだ訳ですが。可哀想になぁ。


第48話。
第三隊との訓練中、真田の目を意識し過ぎた星野が降下訓練で地面に激突。兵悟の機転で軽傷で済んだ。
星野の台詞「どうしても‥メグルより‥いいタイムを出したくて‥」
被害者:星野
この少し前の話にて星野がトッキュ−を目指した理由が語られていて、kachiraはその時に単なるミーハーじゃんね、と切って捨てたのですが本当にその通りだったのでなんだか脱力も良い所。良い所見せようなんて色気見せるのがなぁ。まぁ何げに登場早々から割と他人に対してネチネチとあんまり明るくない闘争心を燃やす人なのかなって感じはしましたが(メグルや佐藤や大羽の様に分かりやすくない。実は結構性格悪いんじゃないかと思います。それでもイイ子役に徹してしまう自分に嫌気とかさしてそう。総じてこういう人は手が掛からない割に(というかそれ故に)愛されにくいタイプなんで、メンタル面弱いのも頷けます)。でもこのエピソードも星野の人間像を掘り下げる事よりも、兵悟を活躍させる為に一役買っただけのような気がして、本当になんとも哀れです星野。


どうでしょう。
kachiraが兵悟をさげまんと呼ぶ理由が少しは理解して頂けましたでしょうか。
これからも原作者が『め○の○吾』並のとんでもエピソードでも思い付いてくれない限り、兵悟の活躍の影に常に誰かが転落する羽目となる事は間違いないでしょう!
頑張れ、兵悟の周りの人物達!!