エマ(9)

エマ 9巻 (BEAM COMIX)

エマ 9巻 (BEAM COMIX)

手フェチならいっとけ!
とか訳分からん感想でいきなり始まってすみません。
いやしかしこれは……ドロテア、ヴィルヘルム夫妻の話一本だけでもうお腹いっぱいとしか。
いや、エロス(笑)もそうなんですけど、描写がね、神懸かってます。
一巻から丁寧で繊細な絵を描く人だなぁと思ってたけど、もうここまで来ると一巻ですら物足りなく思える不思議。
テオメインの回とかなんじゃこりゃあ!!ってくらい素晴らしい。
アレでまだ不満があるのか(後書きより)と……。
テオ(リス)の視点から見る森の広大さや木々の温かみがね……なんか、もう漫画っていうより絵画?
ここら辺一部分抜き取って小さい子に「ピーターラビット」とか言って渡したら騙せそうだ。(リスなのに)
(いや、画風は違うんですけどね。緻密で写実的でありながら、動物をやはりどこか『擬人化』している部分が通じる気が)
ヴィルヘルム夫妻の話はご本人が書いていた通り、髪と手が全てを物語っているとしか。
ぶっちゃけ会話なくてあのお戯れだけで一話全編やられてもOKだったんじゃないかと思うくらい綺麗。
あとドロテアさんの美しさは、割と『淫靡な』とかの形容が似合うんですけど、旦那の前でだけ見せる可愛さがね。
デレがね。ギャップ萌えの人には堪らんよね、これ。ドロテアさん可愛いよドロテアさん。
濃厚なイチャイチャなのに可愛いってどういうこった。
んで、ウィリアム&ハキム。
ウィリアムは本当に毒の無い人だなぁと思います。お母さんに似たのかな。
こういう話を読むとあのウィリアムに育つのが分かるし、逆にあのウィリアムだからこそこの幼少期は頷ける感じ。
ハキムとの友情話ですが、良いお話です。
アルマとポリーのお買い物話。買い物好きな女の子にはすごく頷ける話。
隠し味のマリアさんがステキ。
三人の歌手。本編に関わる事のない三人ですが、独自のお話としてみても、『エマ』の世界を築き上げるお話の一つとみてもやっぱり完成されているなぁという感じです。
この方の描く話は正直番外編もはずれ無しと思っています。
それぞれにどこかしら味わい深さがあります。(好みかそうでないかは置いておくとして)
これはこれで『エマ』の看板をしょってなくても読めたでしょうけれど、逆にエマ達を取り巻く世界を分かり易くするのに一役買うという意味でも、『エマ』の中に収録されて良かったんじゃないかと思います。(前の巻の『新聞』の話とか、大好きです)
揚げ足取りみたいで何ですが、女性に向けても『ブラーヴォ』と叫んでいたのだけが気になったり……。