ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

色々切羽詰まってるくせに何やってるんだという気がしないでもない(;´Д`)


とりあえず映像美は凄いです。
ぐるぐる動くわ、作画全体が綺麗だわ繊細だわ丁寧だわで、アレだけで正直見た甲斐ありました。
気がついたらもう終わってたというだけで、私には観るだけの価値有り。
特にラミエル戦はガチ。ヤシマ作戦、内容はっきり知ってる覚えてるのに震えました。
ラミエルの変態が面白すぎる。すげーの動く動く。なんなの、あの正八面体。
「でっけーブルーウォーターキタY⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゚∀゚)⌒Y⌒Y !!」とか言ってる場合じゃない。
あんまりぐるぐる動くんで普通にアニオタとして燃えてしまいました。
動くアニメは大好きだ……っ!!
ところでレイとの接触場面が全体的に控えめな描写になっていたのは、前作との違いを出したい部分なんでしょうか?
ていうか全体的に端々が違いますよね。
カヲルの出現が異常に早い事を含め、全体的に別物へとスライドして行ってる気がします。
つか……これってもしかして前作の『続き』?
なんかそこかしこに『前作』の世界を意識させる描写があった気がするんですが……。

今回、私がこのエヴァを楽しめた理由は、私が以前劇場版を映画館で観て以降、全くエヴァを観ていなかった影響が大きいと思います。
多分余りのダイジェストっぷりに、初めての人は頭の中整理するのに手一杯、
復習して行った人は、綺麗だけどなんか物足りない、ってなっちゃうんじゃないかな。
私は程良く内容を忘れていた(でも相違点には気付くぐらいにはそれなりに昔よく見てた)ので、
「うおーすげー綺麗!!」と感動しつつ、昔見たエヴァに思いを馳せる事が出来たと言うか。
そん中でちょこちょこ自分の記憶と食い違う部分を先の展開想像しつつ検証してみたり。
テレビ版の醍醐味をまさかまた味わえるとは。
謎だらけのエヴァは翌週までに色々考えて考えて観るのが凄い楽しかったんですよね。
ただ今回は映画四部作との事なのでその4回の間にああだこうだと考えろって事ですか。
よっし、受けて立とうじゃないか(笑)

さっきも書いた通り、これは全くの初めての人にはあんまり優しくない映画です。
ある程度リピートしないと結構な量の内容を掬い損なうんじゃないかな。
私はむしろ望む所だ、って感じなんですけど、「リピート行為」自体がもうオタクくさいよね……(笑)
やっぱオタ向けなのかな、って感じ。
普通にトウジやケンスケとの絡みとかレイとの絡みとか、思春期の子どもって感じの良い描写もいっぱいあるんですけどねー。
あのスピードでどれだけ余韻を感じる事が出来るものか……。
なんていうか、色々惜しい映画です。絶対損してる。
でも私は好きです。続きも絶対見ます。


今回の評価、アレですね。絶賛する訳でもなく、貶すでもなく。
でも中庸とか平凡とか言える映画でもないんですよ。
以前と全く同じに見える人もいるだろうけれど、私はなんか違うなー、シンジの世界が以前より外を向いてるなーって印象を受けました。
もっともっと、昔のエヴァは、昔のシンジは閉塞的な印象を受けたんですけどね。
あれは当時自分もシンジ程ではないにしろ同じような年代の子どもだった影響もあるのかな?
中二病的とも言えるかもだけど、シンジの構って病は結構身に覚えがある人も多いんじゃないかな。
世界設定さえ特殊じゃなかったら、シンジって極めてそこら辺にいる普通の子ですもんね。


あ,最後に。
一番嬉しかったのは、声優を全く変えなかった事。
誰もそんなこと、そんなエヴァ想像してないものだと思いますが、私は10年近く経った今、
過去を切り離す為のエヴァだったとしたらそれも有り得ただろうなと思ってました。
興行的なテコ入れ効果もあるしね。
ファンに媚びるとかそういうんじゃなく、エヴァって作品を割と大事に温めてくれてたんだなと思って嬉しかったです。
まぁ劇場版ラストあんなんだったけどさ(笑)
年取ると愛しく見えて来たりも……するよね?(笑)
歌は宇多田頑張った! 素直に良かった!!
高橋洋子さんの方が良かったなという懐古な自分ですが、それでも遜色なかった。
ちゃんと世界観掴んで音になってました。
こうなると次回から下手な歌手起用出来ませんな、ってくらい良かったっす。


そういえば、映画館に来ていた人ですが、女同士、男同士、女単体が多くてカップルは少なかったです。
レディースデーって所為もあるだろうけど。
会社帰りのサラリーマンが同僚たちと見に来たのか、学生の頃見てたの思い出したー!って話してたのがなんか和みました。

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なんか書いた後書いた後にガンガン書き足してってるんですが、これってアレだよね。
ずぶずぶにハマってる現象ですよね……うはは。

いくつか書いてから更に思った事。
さっきも書いたけど、『シンジの世界』に広がりを感じます。
確かにうじうじくんなシンジも居るんですよ。むしろウジウジっぷりに拍車掛かってる気もします。
緒方さんの台詞回しが巧みになってたりもあるのかな。
家出した時の監視者たちに対する投げやりな声や、「どうせやるしかないんでしょ」的な言葉全体が、
諦観は勿論の事、ミサトたち大人に対する当てつけの色合いが強まった気がします。
でも逆にすごいポジティブだとも思う。
展開早い所為もありますが、レイやトウジ達を受け入れるシンジはとても素直。
エヴァに乗ってからの腹の括り方も前より『据わっている』気がします。
全ての描写が『強』の方向になっているというか、出し惜しみがないんですよ。
だから余計かな、以前の半端さ、曖昧さが薄れた気がします。
話としてではなく、表現としての曖昧さかな。
話は相変わらず「曖昧模糊」です。それがエヴァの良さでもあります。
今回見て「なんだ、テレビ版と殆どかわんねーじゃん」って思った人はとても惜しい。
むしろ私はエヴァは重箱の隅をつついてなんぼの話だと思ってます。
そのわずかの差異でにやにや出来る方が、絶対楽しい話なんですよ。
何せあと3話もあるんだ。重箱の隅の米粒が大きな布石になっているやもと思うと、それだけで胸が高鳴ります。
うん、オタクなんだ、ごめんね。

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と、更に追加。
前はシンジといいミサトといい、ファザコンっていうか、リツコさんのマザーコンプレックスも含め、
「家族の絆」的な物を結構丁寧に描写していた様に思うのですが、今回はもう少し枠組が大きくなって、
「人」と「人」である気がしました。
ミサトとの疑似家族描写は薄れ(アスカが居ない所為もあるでしょうが)、全ての人と満遍なく関わっている、という印象が。


………なんていうか、巡る世界、なの? かな?
シンジの性格描写も含め、これ、以前のテレビシリーズと劇場版を一回通り越した世界に思えてならないです。