ヨイコノミライ(3)〜(4)

ヨイコノミライ完全版 3 (IKKI COMICS)

ヨイコノミライ完全版 3 (IKKI COMICS)

ヨイコノミライ完全版 4 (IKKI COMICS)

ヨイコノミライ完全版 4 (IKKI COMICS)

最後まで痛々しいというか、更正(?)した人も居ましたが、どん底まで落ちた人も。
でも、確かに極々少数派ながらも「そういう人」がいる事は現実問題として知っているので
やりきれないというか、なんとも落ち着かない気分にさせてくれます。
オタク文化を好きだからこそ暗い部分もなかった事にしたくない、というコンセプトは
本当によく理解出来るんですけど、物語としてのオチの気持ち悪さは、
もうちょっと書き方次第でなんとでもなるような気がしました。
皆がそれなりにどん底に落ちて、でも最後のそれぞれの歩む道は
良い方向と悪い方向で極端な二極化がなされていた気がするんです。
唯一停滞、というか少しねじくれながらも自分の推進力に変えたのは大門くらいで、
井之上、杏、萌絵、桂坂あーあと兄弟の弟の方は少しずつ前向きに。
青木や天原は問題点を突き付けられた所でその後改善を描かれる事なく終了。
平松に至っては、完全な電波系イタタ少女に。
人間の醜い部分や汚い部分を余す事なく描く点は本当に凄いと思います。
けれど、殆どの人がこういう作品を描かないのは、多かれ少なかれ自分にも痛い部分があって、
そういう部分を直視したって(自分自身が)面白くないと思うのと同時に、
読む側にしたって多くの人が不愉快になってしまうと考えるからじゃないかと思いました。
最後に平松を持ってくる辺りは寧ろ「やりすぎ」と感じました。
あざとい、とも言えるかな。
ここだけはどうしても好きになれませんでした。
その前のイベント会場での萌絵との会話で、平松が、既にかなり
どうしようもない所までいってたのが解る状態だったのに、
それを更にどん底に追いやったというか。
羽を休めるも何も、平松のは根が深過ぎて飛ぶ事も出来ないんじゃないの?という感じ。
仮にも自分が書いているキャラクターによくもあれだけの悪意(…はないのかもしれませんが)を
注げるなぁ、と別の意味で感嘆しました。
あと桂坂と杏ちゃんのエピソードは杏ちゃんの余りにも自己中心的なやり方に気分が悪くなりました。
自殺する、自殺する、って言っててやらない人。
それを蔑む人、焚き付ける人だって十分幼稚ですよ。
手首に痣を残す事で「安心」出来るなら(死ぬよりは)随分安いものじゃないですか。
自己保身の為の自傷行為だと分かってて、ああいう事言える杏ちゃんこそが幼い子供みたいでしょう。
で、実際は幼い子じゃないからタチが悪い。
理想の自分と本当の自分のギャップなんて遅かれ早かれ多くの人が気付く。
それをわざわざ突いて、「本当の友達になろう」なんて、単なる自己満足に過ぎない。
本当の友達なんて欺瞞で「自分と同じ所まで一旦落ちてくれた人」とでないと
対等には付き合えない、青木杏の言ってる事はそういう事に思えます。
だから私はこの子が最後まで好きになれませんでした。
後味は悪かったけど総じてこういう作品は心に残るんですよね。
「熱烈な支持を受けて」いたのも解る気がします。