てるてる×少年11巻(ネタバレ含)



てるてる×少年 第11巻 (花とゆめCOMICS)

てるてる×少年 第11巻 (花とゆめCOMICS)



またもやフライングゲットです。読んでない方は御注意。








泣いた。泣きましたよもう。切な過ぎる。
本誌で読んだ時もかなり泣いたのですが、今回もやはり同じ所で涙腺が。
多由耶と虎彦の哀しい過去で涙。しの姫の「父さま」で涙。やっと真の意味で結ばれた正兄様と松子さんに涙。そして松子さんの最期に涙。最後の最後にしのと才蔵で泣いた。
特にしの姫の「父さま」はかなりきました。そこからはもう泣きっぱなしですよ。
松子さん、すごく愛情の表現が不器用な人だったのに、その精一杯の愛情の示し方がまた切なくて。
しのぶを思って思って、でもそれがちゃんとしのぶに伝わってて、泣けた。
しのぶは愛されていたのだと、松子さんからの愛情をちゃんと間違えなく受け取っていました。
彼女もまた、松子さんが本当に好きだったんだよね。
多由耶を、幼い娘をあやす様に宥めるシーンは、幼い頃甘えられる母としてしのぶに接する事の無かった松子さんの贖罪の行為でもあり、また望みだったのかなと。
数少ないしのぶとの思い出を反芻しながら同じ行為を多由耶にする松子さんは、本当にしのぶが可愛かったのだなぁと思います。最期、少しでも安らかに逝けたのなら良いな。
殿の「また置いていかれた…」はもう、なんていうか、ね。胸が痛いです。いやマジで。
彼と松子さんもまた御城の被害者なのね。ただ、松子さんは、生きてても割と寿命短かった様だし、あの死に方でも、きっとしのの思いが届いたから良かったのかも知れない。
左介は兎に角格好良かった。多分、一番『ヒーローっぽい』子だった。才蔵には翳りがあったし、実際過去の体験からも彼は根明かなヒーロー向きじゃないと思います。左介の「誰が泣いても嫌」というのは、実直真直ぐで解りやすいけれど、その実とても深いと思う。そういや彼は初期の頃に殿に「お前は弱い方に味方すると思った」て言われてましたね。うん、本当にその通りのキャラだった。自己満足でも、馬鹿でも、単純でも、目の前にいる人達の笑顔を守りたいって思う左介は格好良いと思います。
ユーリ。なんか彼は可哀想だった。彼も被害者なんですよね。だから松子さんも甘んじてユーリの鎌を受けたのだろうけれど。けど、ユーリはきっと松子さんを殺しても、なんにもならなかっただろうな、って。そう考えると本当に不憫な子だ。
千代姉。千代姉は、出来ればもう少し松子さんとのエピソードが見たかった。ただ、恩人。て言うのじゃなく、千代姉は本当に松子さんを母のように慕っていたんじゃないかと。殆ど格好良いお姉さんだけで終わっちゃったのが残念。しのとも、今後は仲良くやっていくんだろうなー。それでもやっぱり松子さんみたいに従うっていうんじゃなく、時にはおちょくったりしながら。しのもその方が気が楽そう。
三島兄弟。望兄は最後出番少なかったので省いて(苦笑)義人さんがねー。この人も凄く苦しんだんだろうなぁ、って思うし、憎めない人なんですよねー。すごい悪役に徹しようと(本人的に)してたけど、やっぱりどこか優しい人ですもん。松子さんの死に一番衝撃感じたの、実はこの人だと思います。きっと死ぬ迄、自分がした事を抱えて生きていきそう。まぁ大丈夫でしょ、弟居るし。兄弟愛ちょっと過剰気味な挙人さんとか、家族大好きな左介とか。(望兄は個人主義派なので除く・笑)
しのぶと才蔵は、仲睦まじくやってくれればそれでいいです。なんだかんだ言ってこの主人公カップルにも障害が多かったなぁと、最後の二人を見て思いました。ちょっと正兄様と松子さん好き過ぎて、このカップルそっちのけになってましたが、幸せになって欲しいなぁとは思います。しのも、才蔵も、お互い辛い所を乗り越えたしね。
話ですが、最後はなんか大風呂敷を一気に畳むような慌ただしさがありましたが、それでも最低限の辻褄は合わせてくれていたし、綺麗な終わり方だったと思います。シリアスな方向へ持っていく為の伏線は序盤にきっちり消化し(といってもしのの背中に関しては実は辻褄あってない部分・カットが何点かある)つつ、ギャグやラブコメディ色の濃かった内容から緩やかにシリアスに転じ、けれどその中にもこまごまと『救い』になるエピソードを入れたりして、ただ暗いだけにならない。最後には一抹の淋しさを感じさせつつも、一応は幸せと言えるエンディング。
うん、文句つけられないです。凄く好き。やっぱり高尾さんの作品を好きで良かった。
凄く泣いて、でも嫌な気持ちにはならなかったです。
花ゆめ本誌ではもう次回作が始まりそうですが、これ読んじゃったからすぐに頭の切り替え出来るかどうか……。
三年半も読んでいたのかとも言えるし、たった三年半だったのかという気もします。
今はこの作品が本当に終わってしまった事が、少し淋しいです。