トリノ五輪 女子フィギュアフリー

後味悪い感じにするの嫌なので、あえて安藤美姫ちゃんから。
彼女は、もうちょっと精神的に強くなった方が良いと思います。
その方がきっと彼女の今後に良く繋がると思う。
結果はなんとなくこうなるんじゃないかなという予測は立っていたので別に驚きませんが、
四回転失敗しようがその後のジャンプを殆ど尽く失敗しようが、
何がなんでも笑顔で滑るべきだったと思います。
本人も「笑顔で滑りたかった」と言っていましたが、笑顔なんて本人の気持ち次第でいくらでも
コントロール可能なものであって、本人の内面とは関係ないですものね。
自分にとって気持ちの良い環境が常に揃っているかと言えばそうではない訳だし、
本人が気持ち良く滑ってれば確かに素晴らしい事ですけど、不快なのを審査員や観客に見せるのはマズイ。
悔しくても辛くても、やっぱり笑わなきゃいけないですよ。それが望まれてる場所ではね。
凄く自分自身勉強になった事なんですけど、泣くのを堪えたり悔しいのを堪えていたりすると、
他人の目には不貞腐れているように見えるのですよね。
過去、自分も言われた事有るので、多分彼女もそうじゃないのかなと思うのですが。
本人的に全然不貞腐れてる気持ちなんてなくて、ただ無力な自分に苛立ってるだけだと思うんですが、
どうにもフリーは演技よりもあの表情が凄くマイナスだった気がします。
美姫ちゃんには笑ってて欲しかったな。
あと、記者会見に関しては彼女はマスコミ対応がとてつもなく下手だから、
誰かが徹底的に叩き込むか、とりあえず本人には喋らせない方が良い気がします。
楽しむのは大いに結構ですけど、やっぱり勝負する事をのっけから放棄していたら、
日本の代表としての自覚が薄いとしか。
「自分なりに楽しみながら頑張って、それがメダルに繋がれば良い」とか、
無難な答えにしておけばよかったのに。
「メダルは狙ってない」発言や、「楽しめたのでよかった」てのは、今期で引退の恩田さんや、
急成長してきていた中野さんから見たらどうなんだろうと思いますよ。
私自身(真央ちゃんは仕方ないけど)中野さんや恩田さんでなく彼女が選ばれた事に疑問があったので、
彼女の物言いにはなんだかとても複雑な思いです。
代表選手に選んだのが選考会であって彼女自身ではないと分かっていても、やっぱり選ばれたなら
「なんで私が」なんてメソメソしないで、「見返してやる!」くらいの意気で頑張って欲しかったなぁ
……という気持ちが出るのはやっぱり少しは期待してたからなんでしょうねー(苦笑)
四年後頑張って下さい。
でもそれまでに沢山有望な選手が出て来るかも知れない事は覚悟しておいて欲しい。
今のまんまじゃ、多分追い抜かれますよ。
さて、では村主章枝さん。私やっぱり日本人選手の中じゃ彼女の演技の表現が一番好きですね。
荒川さんは大輪の薔薇、っていうか西洋の花ってイメージが有りますが、
彼女はもっとたおやかで東洋の花、って感じがします。
演技中に歯を剥き出しにしちゃったり眉間に皺寄せちゃう癖なくなったらもっと素敵なのに(苦笑)
とはいっても好きなんですけどね。あの細い身体のどこからあんなパワー出て来んだか、と。
あと彼女のお客様を最大限に喜ばせようというサービス精神というか、ファンに対する感謝の気持ちが
凄く現われている演技がやっぱり好きなんですよね。
日本の選手で彼女程観客を意識して、奉仕するタイプの演技をする人はいないと思います。
荒川さんのは「綺麗な自分の演技を見て欲しい」だから微妙に異なるのですよね。
村主さんは自分の満足も勿論だけど、お客様優先、みたいな感じかな。
とにかく綺麗でした。結果は四位でしたけど、すごくすごく良い演技を見せてもらいました。
彼女の世界をきっちり見せてくれました。良かった。
荒川静香さんは、今回の演技はなんか凄かったですね。どっか突き抜けてるというか。
少しも慌てているような印象を受けませんでした。
ひたすら自分の演技に集中出来ているような、しかもそれがまた技術面でも完璧なもんだから、
自分の技に良い意味で酔っているような陶酔した表情といっても良かったと思う。
笑顔も本当に自然に浮かんでいて、「ああ、今この人凄くスケートを楽しんでいるんだなぁ」と
いうのが物凄く伝わって来ましたね。
自然に浮かぶ笑顔程見ていて気持ち良いものはないですよ。
技術も素晴らしかったけど、それ以上に彼女があの会場の雰囲気を、自分のスケーティングを、
楽しんでいる事に惹かれましたし、綺麗だと思いました。
彼女のスパイラルは綺麗ですね。特にY字バランスは素晴らしいですよね。
SPでのおっとっとも今回はなくて、ジャンプの回数を減らしてもそうなのだとは気付かせない、
ごくごく自然な切替で、非の打ち所がないというか。
でも一番凄いのは順位を気にせずにオリンピックという場所で自分の実力を出し切った事なんでしょう。
あそこでミスしない事がいかに難しいかはコーエンやスルツカヤを見ると一目瞭然ですもの。
自己ベスト更新&金メダルおめでとうございます。
引退は勿体無い気もするけど、次世代の選手の事を考えると今が良い引き際なのかも知れませんね。
とにかく美しい演技を見せて貰えて良かったです。本当に華やかでした。
イタリア国民にも、世界的にも受けが良いのもすごく解る気がします。
そして個人的に切なかったのがイリーナ・スルツカヤさん。
本心ではやっぱり彼女に金メダル取って欲しかったです。
彼女の身体じゃ、次は厳しそうですしね。心臓病って……;
あのジャンプの転倒さえなければ、多分彼女が優勝だったんだろうな。
演技が、一番熟達していて美しいなと感じるのはやっぱり彼女なんです。
スパイラルやビールマンスピンの時のあの身体の線の美しさはもう芸術だと思う。
あと、荒川さんで唯一引っ掛かるドーナツスピンから別のスピンへ移行する時の手の動きの粗雑さが、
彼女にはないのですよね。
というか全体的に技にとっかかる時の「よっこいせ」的な印象が凄く薄いんです。
今回フリーでは少し身体が堅くなっていた気がするのですが、動きの滑らかさとか、
『次』に移行する間も『繋ぎ』の滑りでは決してなくて、
音楽がなっている間は本当に一つの舞を舞っているんだ、という感じ。
技と技の合間にも美しさが継続しているというか。ああ、本当に惜しいなぁ。
彼女の、衣装と音楽と舞の、完全に一体化した滑りには魅了されます。
フリーの曲、凄く大人っぽくて色気もあって軽快さもあって、彼女の演技に凄くあってましたよね。
SPの衣装も、フリーの衣装も凄くあってて、綺麗だった。
彼女が銅に終わってしまった事は他人事ですけど、我が事のように悔しいです。
サーシャ・コーエンは今回は見れました。が、転倒。
でも、二度もミスがあってそれでも笑顔を忘れずに最後まで滑っていたのが印象良かったです。
やっぱりあの舞台で『自分の演技』を、『自分の実力』を出し切るのは本当に難しいんだな、と。
彼女はこれからもまだまだ姿を見る選手でしょうから、また次回頑張って欲しいな、くらいです。
次のバンクーバーではやっぱり真央ちゃん見たいなー。
これからどんどん女性らしい体つきになって、ジャンプとか飛ぶのしんどくなるでしょうけど、
彼女には頑張って欲しい。今回、誰よりもトリノに行く実力を持っていたんですから。