言葉使い師(ネタバレ含)

言葉使い師 (ハヤカワ文庫 JA 173)

言葉使い師 (ハヤカワ文庫 JA 173)

すみません、感想は20日中に書き込みます。
つか、もうあな魂読み始めてるの。
敵は海賊版(変な略仕方すんなと)の方を先に買ってたんですけどねぇ……。
もちっと頭痛がスッキリひいてくれたらさくさく読めそうなんですが、肩凝り頭痛が酷くて;

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ではここから。短編集なので一作品ずつ。
スフィンクス・マシン』
なんか神林さんって蠅好きだなと思った瞬間に、あれ、どの作品で蠅が出て来たんだっけ、と。
老化著しいですが、それはともかくとして本当に今まで私が読んだ作品の中で、蠅は出てたんでしょうか。
とりあえず、この蠅、って単語見た瞬間に、「あ、ベルゼブブか」と思った訳で。
なんでそう思ったのかはよく解らんのですが(だって暴食だよねぇ確か。作品と関係有るか?)、
なんとなくとても象徴的な存在だと感じた訳です。
作品タイトルになっているスフィンクス・マシンよりもずっとそっちの方が気になってしまいました。
なんなんだろうなぁ、この違和感と言うか、既視感と言うか。
脳から出来た創造物よりもそれが気になって仕方ないのです。
『愛娘』
これはある意味ホラーの世界だなぁ(笑)
最近医療技術が発達してから良く耳にするようになった話ですが、
男は女の卵子と子宮さえ有れば実質次世代に命を紡ぐ事が出来る、とか良く言いますが、
言い換えれば女は男の精子さえあとは勝手に産める訳で、
精子の量産が可能なら実質的には男はいらなくなるんですよね。
て、別に男を排除したい訳でも無いし、女尊男卑でもないですよ(笑)
折角男と女両方存在するんだからお互いの性を尊重しあって生きた方が面白いですし、
なんとなくゆとりがある気がしますもんね。
っつか男だけとか女だけの世界よりもバラエティに富むと思いますし。
なんだろう、仮死状態からの生還+しかし実際は……というあの結末見て、
ふと『エイリアン』とか『ザ・フライ』を思い出してしまいましたよ−。全然違うけど。
結局妻はいなくなるのか……それとも遺伝子レベルで生きてる、って事なのかな。
ただそれを人として存在している、と言えるのかどうかは解らないですが。
『美食』
オチの予想が途中でついてしまって、うぎゃーという感じ。
でも正直主人公の側の気持ちも、その妻の気持ちも遠くて、ましてや息子なんて全然解らない(笑)
子供生んで無いというか、生みたい生みたくないという点で切羽詰まった経験をした事が無いから
ですかね。
どうも主人公の妻の激情にはついていけない感じです。
ていうか料理……料理……ガクガク((((゚Д゚;))))ブルブル
『イルカの森』
読み始めは雪風アーキタイプ的なものかと思ったのですが、
読み進めるうちに全然そうじゃ無い事が解りました。
あーでも今作品群の中では一番好きかも知れません。
絶対帰れると思ってたんですけど、そうじゃなかったですね。
でもあのまま『鈍感』(というか記憶が風化?)になっていく事もなさそう。
なんというかこの作品も含めてですが割と良い意味で期待を裏切るものが多いです、オチ。
残っても、あんなに明るい終わり方するとは正直思ってもみませんでした。
あと、全体にページ数に見合わないボリュームを持ってると思います。
なんでこんなに簡潔に書けるんだろうと、感心頻り。
『言葉使い師』
表題作ですね。これ読んで、すごく懐かしい事を思い出しました。
高校の時かな、今も付き合いの有る子と話していたんですが、
「自分が住むこの世界が物語の世界ではないと言い切れる根拠は何も無い」みたいな事ですね。
というのも、自分自身と彼女と、それぞれ自分が思っている事を口に出しているはずだけど、
それが誰かが書いたシナリオでないと、この世界の全てが虚構で無いと言える根拠って、
本当に何にも無いな−って思ったのですよ。
だって、人間の考えた『科学』はあくまでも『人間に解るように実証した』ものであって、
それが本来の意味で、本質を掴んでいるとは言えない事だと思いますから。
もっと極端に言えば、自分以外の人間の心なんて全く見る事も出来ないんですから、
そういう意味で確かに感じられるのは今ここにいる自分の存在だけで、
しかもそれも五官が断たれたらそれすらもきっとあやふやになっちゃうんだろうなぁとか、
そういう事を話していた訳ですよ、昼休みに←なんだこの女子高生(笑)
仮に4次元空間という物が存在して、そこになんらかの生命が存在していたら、
彼等から見る私ら3次元の世界は、もしかして私達が漫画や本を読むのと同じ感覚なのかなぁ、と。
こうやって見ると高校時代の方がよっぽど突拍子も無い事ばっか考えてたんだな−と思います。
んで、この作品はそういう懐かしさと思い出しました。
作品全体の雰囲気も近未来的なのに、どっかレトロっぽさがあって、
そういう部分が大好きで、更にそれがこういう事を思い返させたんだろうなと思いますね。
うん、オチもなかなか好きだし、面白いと思います。
『甘やかな月の錆』
これも好きですね。単純にストーリー構成と設定が好み。オチには「そうきたか!」と。
コムの名前が『胡夢』というのもね。これ『胡蝶之夢』から取ったんですよね?
なんか神林作品は色々と伏線と言うか、こういう言葉遊びみたいなのが随処に見られて、
そういうのが好きですね。単純に面白い。
もうちょっと物知りだったら更に楽しめる要素が有るのかも知れないな−。
そういえばスフィンクス・マシン、て名前もなかなか洒落てますよね。
『人間』が答えの、あの質問思い出しちゃった。
(ここは初め素でフェニックス・マシンと書いてました。どっから持ってきてんだか・笑)
面白かったです。すごくバラエティに富んでいると思います。
本当に結構パターンが読めない感じ。
裏をかくと、意外と直球だったり、逆に裏の裏をかかれたり、思いもよらない所に飛んでったり。
いい具合にハメられてますね。