ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

(ネタバレ含みます)


また私はこの作品に全てを持って行かれるのか……そんな気さえした、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』。
もうありえないくらい心を鷲掴みにされました。
なんという凝縮された時間。
見終わった後、余りの情報量と感動に暫くぼ〜っとしてしまって、興奮気味に語る友人の傍で脳内情報整理に追われました。
そして、この作品には『アウトプット』させたくなる何かがあるのだな、と改めて思います。
前作『序』の時にも同じ事を言ったのですが、内心に留めていてはいつまで経っても片付かない宿題のように心の中に鎮座するんです。
まぁアウトプットしても謎が謎呼び、書いた端から疑問や新しい『気付き』が生まれて、じたばたしながら
「また観に行くか……」という選択肢を選ぶしかない状態になる訳ですが。
だが、これはオタクとしてなんという僥倖。これこそ本望。
これは庵野監督からの挑戦状だと思って受け止めさせていただく所存。
自分の解釈と結果が異なっていても、今の内容を見る限り相当良い方向に裏切ってもらえるのではないかなと思っています。



まだ物語を順に追って感想を書くという作業には入れませんので、思った事をバラバラと行きます。



まずキャラクターについて。
とにかくシンジくんが男前になりました。
彼の世界が、TV版とは違い、外に向かっている事を『序』よりもさらに強く感じます。
いや、むしろ自分をひたすらに見つめた結果の強さなのかも知れません。
TV版シンジはかなり全編に渡って『内向き』であったけれど、自分自身とさえ向き合っていなかったんですよね。
今回のシンジは違う。
兎に角、周囲の助けを借りたりしつつも『自分』がどうしたいのか、という事から極力目を背けないようにしています。
ポジティブになったというより、アクティブになったんでしょうか。
多分ネガティブ回路は未だに残ってるんですよね、でもそれでもやってみなきゃ、やってみようという思い切りが出来た。
周りと積極的に打ち解けようとする彼が、前回よりも『一皮剥けた』存在であるのは確かです。
しかし緒方声も相俟って、加持さんのあのシーンで萌えも兼ね備えたいいキャラになりました(笑)
格好良さと萌えと燃えとで、シンちゃんはいい男になったねー!と思わずミサトさん視点。


アスカは前回素直に出すことが出来なかったであろう部分が、割とぽろっと出ていて凄く可愛らしくなっていましたね。
何となく名字が変わったのってこれのせいなのかなーと思いました。
要は家庭環境が変わったので、エヴァへの異常な執着、誰かに強く認められたいという思いが大分薄まったのではないかと。
アニメ版アスカって母親との確執ですごく雁字搦めになってましたものね。
また加持さんへの執着が殆どと言ってもいい程見られなくなったのもそれが影響なんだろうなぁという気がします。
レイとの絡みは全般的に年相応の可愛らしいお嬢さんですごく見ていて和みました。
彼女もまた、TV版とは違い、比較的容易く自らへの抑圧から抜け出している気がします。
緊急回線を使用してのミサトさんとの会話にはビンビンの死亡フラグを感じて怖かったですが、
それでもあの柔らかな声の「私、笑えるのね」にはね。
もぉおおおおおおおおおおおおかっわいいなちきしょおおおおおおおってなりましたよ。
それだけにその後は「やめてやめてやめてやめて」って感じでしたが……。
ああ、いまでも思い出すとキツい。そりゃシンジだって怒りますよ。前回とは違って『搭乗者が誰か』を知ってたんですもの。
ここら辺、きっとキーポイントなんでしょうね。


レイ。彼女に関しては『序』で持ってた疑問が完全に氷解しました。
私は『序』の感想で「レイの声が妙に幼い。『萌え系』に近い喋りに聞こえる」というようなことを言ったのですが、それもその筈です。
このレイはTV版のレイじゃなかった。
TVのレイが『魂のない素体』に近い状態だったとしたなら、このレイは『心が成長していない幼子』なんですよね。
感情が生まれる、のではなく、育って行ってるんです。
だからあんなに幼い声だったのか………!と気付いて驚愕ですよ。
そりゃそうですよね、プロの声優さんですもの。
庵野監督の指示がどうであれ、あの音色(おんしょく)の方が、今のレイには絶対合います。
そしてレイもまた以前とは違う歩み方をしています。
シンジがエヴァで戦わなくてもいいように、というあの言葉は、以前のレイのこの時点では考えられない台詞です。
アスカとのやり取りの中ででもそういった部分は多く見られ、ビンタのシーンのやり取りは
以前よりもずっと二人の距離を縮めていたと思います。
料理をするレイ、って時点でもう今までのエヴァとは全然違うのは分かりますが、もうホント衝撃だった。


マリはいいキャラでしたねー。
坂本真綾さんも凄い。
あのもはや『完成されているんじゃないか』とすら思えるエヴァキャストにぽんと放り込まれるのは
恐らく相当の覚悟が必要な筈。
完成されたものを望むファンの目とかね。
前作である意味伝説と化した作品に新しく参入する要素っていうのは光りすぎても目立たなすぎても淘汰されるんですよね。
いやーしっかし登場の仕方も、その後の役割も、全て上手い具合に調整されていたなぁと思います。
あの絶妙な匙加減で、マリという新キャラに愛着と次回への期待が持てた人は多いんじゃないかな。
今回、アスカが大人しめなのでよりエヴァに乗る事を(というより使途と戦う事?)最も楽しんでいるキャラとして
描かれた訳ですが、しかしそれにしてもアスカのような病的な背景には見えませんね。
彼女の目的が明らかになるのも楽しみです。


渚カヲル
思わせぶりな台詞で一気にシーン転換を成功させる石田さんはマジですごいと思う。
というかあの人きっと素でミステリアスな人なんだ。
この台詞もすごい自然体で言ったとしか思えない。(演技をしてないという意味ではありません)
そしてその僅かな台詞で腐女子を沸かせるカリスマ性は流石としか思えない。
でもあれ、あの脚本、絶対榎戸さんの入れ知恵だよな!!!!!!!!(笑)
あの人ああいう性的なニュアンスを滲ませる台詞バカ上手だもん、絶対そうとしか思えない(笑)
所々セーラームーンとかウテナとか思うような台詞とか演出もありましたね。
兎に角相変わらずこの人は美味しいとこかっさらって行きます。
また同人人気出るのかなー。出るんだろうなー。
展開が読めないだけに腐女子もバーニングできないわけですが、きっとみんなうずうずしてる。
なんという焦らしプレイ。



大人組。
ゲンドウのデレデレっぷりには開いた口が塞がらなかった。
え、立木さんの仕事、素晴らしすぎませんか。
私、本気で感動しましたよ。あのユイさんの墓の前での声の優しい事優しい事。
怒声も、『怒ってる』というより『叱ってる』んですよ。
ちゃんとシンジの方を向いてるんです。
DVDとか持ってる人は絶対あのシーン見比べてみて下さい。
絶対音色がかなり変わってます。断言してもいいです。
前回もゲンドウは不器用なお父さんでしたが、今回の方がその不器用さが素直に出ているんじゃないかな。
シンジも素直だからこそかもしれませんが、このデレっぷりはたまりませんでした。
ミサトさんは以前よりも少し大人になった? かな?
ファザコン度は落ちている気がします。
加持さんにもあんまり凭れ掛からなくなりましたね。
シンジやアスカとの距離の取り方も以前より上手い感じ。
前はもう少しお互いに凭れ掛かってるイメージがあったんですが、シンジやアスカが一人で立ち始めているので
それと同じくミサトも一人で立たなきゃいけない状態になってるのかな?
加持さんは相変わらず謎の人ですが見てる限りですと今回もスパイ要員みたいですね。
ああ、この人の死亡フラグもどこかで折って欲しい。
リツコさんとは距離が近くなってましたね。『リョウちゃん』て。幼馴染とかなのかな?
意外とリツコさんとくっついたりして。
そういえばリツコさんもTV版で結構見たような気がする『女』の描写が少ない気がします。
あれはもっと後半だったのかな?


キャラについてはとりあえずここまで。
次は話について、と言いたい所ですがここまででも結構長いので一旦休憩します。

少女ファイト(1)〜(5)

少女ファイト(1) (KCデラックス)

少女ファイト(1) (KCデラックス)

少女ファイト(2) (KCデラックス)

少女ファイト(2) (KCデラックス)

少女ファイト(3) (KCデラックス)

少女ファイト(3) (KCデラックス)

少女ファイト(4) (KCデラックス)

少女ファイト(4) (KCデラックス)

少女ファイト(5) (KCデラックス)

少女ファイト(5) (KCデラックス)